人工知能が新しい抗生物質化合物の発見を支援

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは、機械学習アルゴリズムを使用して、世界で最も危険な細菌の1つを殺すことができる新しい抗生物質化合物を発見しました。


実験室テストによると、この新しい薬は結核の原因菌や、抗生物質に耐性のある腸内細菌の株を殺し、さらにマウスの感染をも除去することができました。

プロジェクトの上級研究者であるレジーナ・バルジレイ氏と、MITのバイオエンジニアであるジェームズ・コリンズ氏が率いる科学者チームは、人工知能を用いて抗菌活性を持つ分子を数百万個テストしました。彼らは抗生物質耐性菌を殺す分子を特定することを目的とした訓練された「ディープラーニング」アルゴリズムの助けを借りて、9つの新しい抗生物質を発見しました。

「抗生物質の発見に関して、これは絶対に初めてのことです」とレジーナ・バルジレイ氏は述べました。

ジェームズ・コリンズ氏は、「これはこれまでに発見された中で最も強力な抗生物質の1つだと思います。幅広い抗生物質耐性病原菌に対して驚異的な活性を持っています」と加えました。

ニューラルネットワークは6,000以上の化合物のデータベースをスキャンし、数時間でハリシンという新しい化合物を特定しました。この名前は映画『2001年宇宙の旅』に登場するAI、ハルにちなんで名付けられました。

コンピュータモデルは、数百万の化合物をスクリーニングし、既存のものと異なる方法で働く潜在的な抗生物質を明らかにするように設計されました。

「私たちは人工知能の力を利用して抗生物質薬の発見に新しい時代をもたらすプラットフォームを開発したいと考えていました。私たちのアプローチは、これまでに発見された中で最も強力な抗生物質の1つであると言っても過言ではないこの驚くべき分子を明らかにしました」と述べたジェームズ・コリンズ氏は、研究者たちによって発表された論文の共同上級著者でもあります。

この発見の重要性は、ここ数十年で非常に少数の新しい抗生物質しか開発されていないという事実にあります。